そら と すみの王様ぐらし ー1ー そらのきおく

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私がもっと小さかったころ

たくさんの動物たちと いつも いっしょに遊んでいました。

 

家族みんなで、動物たちのいる場所に行って。

 

そのおかげか、私が一番さいしょに おぼえた魔法は

「動物の言葉がわかる魔法」でした。

 

 

 

そらのきおく

 

そよそよと 気持ちのいい風が通りぬける

夏のお昼すぎ。

 

私とすみは、おばあちゃんの部屋で

本を読んでいました。

 

「ねぇ、おばあちゃん。

私が小さかったころ、

みんなで 動物たちのお世話をしていたよね?」

 

私は、ソファにすわって ぬいものをしていた

おばあちゃんに聞きました。

 

「ああ、そうだねぇ。」

おばあちゃんは、手を休めてニコニコと答えました。

 

「え!そうなの?!

いいなぁー!!」

図かんを見ていた「すみ」が、目をかがやかせました。

 

「すみも いっしょに行っていたはずだよ。

・・・あれ?

いたかなぁ・・?」

 

「うーん・・・??

おぼえていないなぁ?

おばあちゃん、どうだったっけ?」

 

「ほほほ。

そうだね、あのころ

よく みんなで行っていたね。」

おばあちゃんは、なつかしそうに

まどの外を ながめました。

 

「あの場所は どこだったの?

どうして このごろは行かないの?」

私はふと ふしぎに思いました。

 

私が4さいか、5さいか、それくらいの時は

動物たちと いつも会っていたような気がするのに

このごろは そうではないのです。

 

「ああ。それはね・・・」

おばあちゃんは、あみものを横において

ゆっくり立ち上がりました。

 

 

 

松の木の星空

 

私たちは、お庭にやってきました。

お庭の中心には、家くらい大きな松の木があります。

松の木のまわりにはぐるっと、大きな石がならんでいて

木の屋根の下は私たちの遊び場です。

 

おばあちゃんは石のかこいを よっとこえると

松の木の下まで入って行きました。

 

「ちょっと待ってね。」

おばあちゃんはエプロンのポケットから

コショウの入れ物のようなものを 取り出しました。

そして、まわりの地面に フリフリと ふりかけました。

光の粒が ちらばり、ふわふわと まい上がって・・・・

 

見上げると、いつの間にか 木のてんじょうは真っ暗になっていて

まい上がった光のつぶは、星のように光り始めました。

 

「うわぁ!ここだけ夜みたいだね!」

すみは喜んでくるくる回り始めました。

 

「えーと・・・どこかしら?」

おばあちゃんは夜空のようになった 松の木の中を

キョロキョロ。

 

「あ、あれだわね。

そら、あのあたりを見てごらん。」

「どこどこ?」

おばあちゃんが指さす方向を 探してみると

なんだか黒い空にぽっかりと あなが空いたように

明るい部分がありました。

 

「あの丸いところ?」

「そうだよ。

あそこが動物の国への入り口なの。」

 

 

「??????」

「えーーーー??!!!!」

 

私とすみは、びっくりぎょうてん!

動物の国への入り口??

こんなところに??

 

 

「・・・でもね、

空間をつなぐ魔法がどんなだったか うっかり忘れてしまってね・・。

どんどん魔法がしぼんで、入り口が小さくなって

私の体じゃ 通れなくなってしまったのよ。」

 

 

 

むかしむかし?

 

おばあちゃんの話はこうでした。

ーーーむかし

私とすみが生まれる前に おばあちゃんは

動物の国をつくったそうです。

 

動物たちは それぞれ家族との生活や、なかまとの会話、

好きなしゅみを楽しみ、毎日安心して

幸せに くらせる国になったそうです。

 

私たち家族ーおばあちゃん、パパ、ママ

お兄様、すみ、そして私の6人は

毎日のように動物たちのお世話に行っていました。

 

ところが ある時、

空間をつなぐ魔法が 弱まっていたそうです。

 

おばあちゃんは どうしても、その魔法を思い出せず

一日、一日、と、ふたつの世界をつなぐ道は

小さくなって、とうとう通れない大きさになってしまったのですって。

 

 

 

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