ぼくの名前は「すみ」。
もうすぐ1年生になる、6歳です。
ぼくにはたくさんの夢があって
その一つは、博物館を作ることなのです。
名前は「宝科学博物館」!
世界中から宝物を見つけ出して、展示をしたり
ぼくが作った発明品も、売りたいと思っています。
宝物を探したり、
何かを発明するのって、楽しくって。
ほら、また何か見つけそうな予感がしてきた・・
真っ黒な雲
今日は家族で、山に遊びに来ているところです。
みんなでお昼を食べて、遊んでいたら
急に空が暗くなってきました。
さっきまで、とても晴れていたのに。
空を見上げていると、
ぼくたちの頭の上に真っ黒な雲が
もわもわと集まってきました。
「雨が降りそうだね。
一度東屋に移動しようか。」
パパが言いました。
ぽつぽつと雨が降り出し
空は真っ直ぐ 線を引いたように
青と黒に分かれました。
向こうの空は
あんなに晴れて輝いているのに。
なんだか、この山にだけ雨が降っているように見えました。
「すみー!
早くこっちにおいでー!」
「すみー!」
みんなが ぼくを呼んでいたけど
ぼくは雨に あたったまま
ずっと空を見ていました。
あの 真っ黒な雲に
穴をあけてみたいなぁ!
何かいい方法はないかなぁ。
空を飛ぶカサ
周りを見渡すと
ママたちが カサを持っていたので
カサをつかってみることにしました。
「ちょっと、カサをつかっていい?」
「いいよ、はい。」
ママから、カサをうけとると
ぼくはカサに りょうてをかざし、まほうをかけました。
さいごに 右手をにぎりしめて、手をうちならすと
ボンっとカサは、空にうち上がりました。
「のぼれ!のぼれ!
カサの穴、作れー!!」
ところが
カサは空に上がっていく とちゅうで、とじてしまって
空も雲も なんにもかわりません。
「う〜ん・・」
次に作ったもの
「すみ、何をしているの?」
カサをさして、お姉ちゃんがやってきました。
「あの真っ黒な雲に、あなをあけたいんだよ。
そう思わない?」
お姉ちゃんは空を見上げました。
「もっと、大きくてかたいものの方が いいんじゃない?」
「そうかな」
ぼくとお姉ちゃんは、山の中をさがしはじめました。
「これはどう?」
お姉ちゃんが見つけたのは、家くらい大きな岩でした。
「いいねー!よし」
ぼくは、さっそく魔法をかけはじめました。
形を変えた方がいいかな・・・。
あ、そうだ、あれがいいかな・・。
そして、穴をあけるように伝えておかないとね。
ぼくは手をかざし続けます。
大きなものに魔法をかける時は
ちょっと時間がかかるのです。
「すみ、がんばれ〜!」
ガタ・・ガタゴト・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・
ゴトゴトガラガラガラ・・・・・。
「なんの音?!
だいじょうぶ?!」
ママとパパが走ってやってきました。
ゴトゴト・・ゴゴゴ・・ゴト・・ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・!!!
「よし!」
ぼくは岩の中から、ロケットの形を切り出しました。
「すみ!
何やっているの?!」
ママはおどろいていたけど
だいじょうぶ。見てて。
「いくぞーーー!!」
ぼくはまた右手をにぎりしめて
手をうちならしました。
「いけーー!!」
「がんばれーー!!」
岩のロケットは、いきおいよく回転しながら
打ち上がりました。
そして
黒い雲の真ん中を つきぬけ
ぼくがねらったとおりに、丸いあなをあけました。
「やっっっぴー!!!!!」
雲の上
ロケットが通った穴からは、青い空が見えました。
「うわ!
やっぱり青いんだ!
やっぴー!やっぴー!!」
「すみ!すごーい!!!」
ぼくは、大喜びしました。
すると、パパがやってきて
「発明や実験もいいけど
きちんと安全も考えるのだよ。」
そう言って、ぼくの体をひきよせて
一緒に空を見上げていました。
「あのロケットは
どこまで行くの?」
「そりゃあ、宇宙だよ。」
ぼくは、ママの質問に答えました。
「あ、カサも宇宙に
行っちゃったごめんなさい・・。
ふふふ・・・。」
ごめんなさいなんだけど
ぼくは、なんだか笑いたくなってしまいました。
今日の発明品
ロケットを作った岩の残りで
また小さなロケットを作りました。
宝博物館用です。
名前は「青空を作るロケット」。
宝博物館ができたら、
ぜひ見に来てね!