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心理学界というと
「フロイト」「ユング」「ロジャーズ」などが有名ですが、
日本にも、世界に影響を与えた人物がいることをご存じですか?[/speech_bubble]
今回は、心理学界に偉大な功績を残した 森田正馬(もりたまさたけ)氏について紹介します。
医学者・精神科神経科医として活躍していた森田氏は 1920年に神経質者に対する「森田療法」を確立しました。
森田正馬とは?
森田正馬 (もりた まさたけ)1874 – 1938 明治7年、高知県に生まれる。
幼い頃から虚弱体質ではあったが、4歳頃から読み書きが達者で 小学校の成績は常に上位であった。
好奇心も旺盛で、催眠術や記述にも興味を持っていたそうです。
中学に入学した後、成績が落ち、心臓病や肺結核症など 様々な病気に苦しみます。
闘病の中、東京帝国大学医科大学に入学し 大学副助手となって、病院で臨床活動を開始。
そして、自らも長い間苦しんできた神経症の治療にも取り組んでいきました。 その後、自宅を利用した入院療法を確立したのです。
クライアントの心構えを重要視した「森田療法」
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森田療法は、入院しておこなわれる治療法として確立しました。 [/speech_bubble]
治療構成
森田療法には、治療構成が4段階あります。
生理活動以外は寝て過ごす「絶対臥褥期ぜったいがじょくき」(第1期)。
軽作業を取り入れる「軽作業期」(第2期)。
肉体的に重い作業も加わる「重作業期」(第3期)。
生活リズムを整える「退院準備期」(第4期)。
まずは、ひたすらベットに横たわって過ごします。 食事とトイレ以外は絶対安静です。
会話も禁止なので、自分の中の感情や欲求、避けてきた不安など 様々なことが思い浮かんできます。
逃げずに、これらと向き合うのが目的です。
次に軽い作業を開始することで、共同生活に入っていきます。
グループでの共同作業に、不安を感じることや 症状が悪化することもあります。
大切なのは、「悩み」は「悩み」として 「不安」は「不安」として持ちつつも 「行動」できることを実感することです。
重作業期は、仕事の範囲が広がり、作業量も増えます。 更に、役割を担うことで 現実との関わり方を、学んでいきます。
作業内容には、掃除や家事、畑仕事、園芸、動物の世話などもあります。
そして、最終段階の退院準備期では 退院後の生活を、視野に入れて過ごします。
入院施設から学校や会社へ通い、外泊を増やしていきます。
これらの流れで、入院患者は作業に取り組みながら 不安などの感情を受け入れ、自己理解を深めていくのです。
第1期 | 絶対臥褥期 | ひたすら横たわる |
第2期 | 軽作業期 | 共同生活に入っていく |
第3期 | 重作業期 | 責任ある役割を担う |
第4期 | 退院準備期 | 実生活に向けた社会訓練期 |
森田療法は入院治療が原則でしたが、現在では外来療法を柱に 入院治療法などと組み合わせたスタイルへ変化しています。
森田療法の原則
森田療法の原則は、わたしたちに備わっている自然治癒力を引き出すことです。
心がけるポイントは3つ。 「待つ」「心を操作しない」「知る」です。
「待つ」とは、時の力を信じて自然に待つこと。 思い詰めることなく、今自分ができることを一生懸命するのです。
次に、自分の感情を無理に変えない「心を操作しない」です。 不快な感情と思っても、ありのまま受け入れることを指します。
3つ目の「知る」は、自分にできること、できないことを知ることです。 「できること」はおろそかにせず、「できないこと」は放っておきます。
何かあったとき、あれこれ思考を働かせるより 沸き起こる感情を、受け止めることが大事だと、森田氏は言いました。 ありのままの感情を受け入れること・・つまり「純な心」の体得です。
海外評価
さまざまな症状を人間の自然な営みのひとつとして捉える森田療法は 海外でも高く評価されています。
海外評価の一例
アメリカ | ガン患者の心のケアへ応用されている |
中国 | 医療機関で急速に普及している |
フランス | ワークショップが開催されるなど、関心が高まっている |
心の悩みの多くは「不安」を背景に、引き起こされることが明らかになっています。
森田療法は、心の悩み全般に、広く応用できる方法として 国内外問わず、治療対象が広がってきているのです。
東洋の文化に基づく森田療法は 悩みの原因探しは、重要視されません。 負の感情とされがちの「不安」や「緊張」も 自然なこととして、受け入れる考え方なのです。
森田正馬の音声テープ
昭和9年に録音された「神経質講義」の内容から、森田正馬博士の肉声が聞ける唯一の録音オーディオ。
神経質とは何か、またどのように治療すれば良いのか、を端的に解説した貴重なテープです。
まとめ
森田氏は、病気や在学中の資金の問題などで 「もう死んでも構わない」と、やけになった時期があったそうです。
死んでもいいからと、服薬を止め、試験勉強に打ち込みました。 すると、苦しかった病気の症状が、いつの間にか消えてなくなっていたのです。 そんな自分自身の体験も、森田療法の布石となりました。
悩みは、もがけばもがくほど、かえってその感情は強くなります。
森田療法の目的は、不安や恐怖を消し去ることではないのです。 不安や悩みも「ありのままの自分」として受け入れ それらを持ったままでも「やれることがある」ことを実感し 自然で、無理のない生き方が、できるようにする為のものなのです。
参考資料:森田療法、森田療法のすべてがわかる本