ウォーキングの科学 / 能勢 博【読書備忘録】

今回の読書備忘録の本は『ウォーキングの科学 / 能勢 博』です。
出会えて良かった!と思った一冊です。

「BLUE BACKS ウォーキングの科学」は、ウォーキングを通じて体力や健康を改善する科学的なアプローチを紹介した本です。著者の能勢博氏は、信州大学の医学教授で、運動指導を通じて得た知見を基に、特に「インターバル速歩」を推奨しています。この方法は、速いペースで3分歩き、次にゆっくり3分歩くことを繰り返す運動で、筋力や心肺機能を向上させ、生活習慣病の予防や改善に効果があるとされています。

さらに、ウォーキング後に乳製品を摂取することで、筋肉の成長や慢性炎症の抑制に役立つともされています。この本では、どれくらいの速度で、どれくらいの頻度で歩けばよいかなど、具体的な実践方法が詳しく解説されています。

持久力の評価

運動時に筋肉で単位時間あたり最大どの程度の酸素を消費できるかで評価する

持久性競技トップアスリート:体重1kgあたり70ml / 分以上
中高年者で運動習慣のある人:35ml / 分程度
高齢の要介護者:10ml / 分以下

「どの程度の酸素を消費できるか」というのはつまり「体力」と言えるようです。
この場合、トップアスリートは中高年で運動週間のある人の倍の体力があるということ。

体力が落ちると生活習慣病になりやすい?!

体力は20歳前後をピークとし、30歳以降10歳加齢するごとに5〜10%づつ低下する。

加齢性筋減少症・・・加齢現象の一つ。加齢による筋力、体力の低下。(運動不足の生活をしている。)

慢性炎症・・・外部からバイ菌などの異物が体内に入らなくても、運動不足、肥満など体力低下を引き起こすような生活習慣で炎症反応が起こる。気づかないほどの非常に低いレベルの炎症だが着実に全身に起こっている。脂肪細胞に起これば糖尿病に、免疫細胞の血管内皮細胞なら動脈硬化・高血圧症。脳細胞なら認知症、うつ病。がん抑制遺伝子及べばがんに。

現代の医学ではこれらの病気に対して対症療法で行っている。薬の投与を停止すれば症状が再び現れる。慢性炎症が止まっていないから。

体力の低下が起こると炎症反応が起こる

加齢によって筋力が低下
     ↓
筋肉中のミトコンドリアの劣化
     ↓
ミトコンドリアも古くなると活性酸素を出す
     ↓
活性酸素は細胞や組織を傷つける
     ↓
刺激されて炎症反応が起こる

さらに
筋力が低下して運動が億劫になると
筋肉以外の臓器臓器の代謝も低下
     ↓
全身のミトコンドリアの機能低下
     ↓
全身性に活性酸素が産生され慢性炎症に
     ↓
生活習慣病になる

体力アップの方法

データを集め、検証し体力を上げるための方法を探したようです。

一日1万歩毎日歩いた結果

100人3年間の検証・・・体力の顕著な向上は確認できなかった。血圧や血液成分の改善効果も満足なものではなく、努力する割りに報われない結果(運動強度が低すぎる/米国スポーツ医学会ガイドライン)

個人の最高酸素消費量の60%の強度を目標とした運動を30分/日、3〜4日/週、3〜6ヶ月間行うと「年齢、性別、初期体力に関係なく」最高酸素消費量が初期値に比べ10〜20%向上することが明らかになっている。

筋力トレーニングの場合

一般的な筋力トレーニングの方法はようやく1回できる強度の動きの80%の負荷をかけて1日8回 ・3セットを週3回行うのが標準。
2〜3ヶ月のトレーニングで筋収縮力は初期に比べ10〜20%増加する。
この場合の筋トレは週3日以上行わない。各トレーニング日の間に必ず休息日を1日以上挟むこと

負荷強度と反復回数

負荷強度が高く反復回数が低い・・速筋繊維が太くなって筋収縮力が向上する

負荷強度が低く反復回数が高いほど遅筋繊維が鍛えられて筋持久力が向上

結果

過去10年余りの研究でインターバル速歩でも十分な効果が得られることを明らかにした。

中高年者246名を従来の生活群、1日1万歩群、インンターバル速歩群に分けた5ヶ月の研究

1日1万歩・・・平均週4・5日1日64分1万135歩(最高酸素消費量40%以下に相当する運動強度)

インターバル・・・1日歩行時間52分(早歩き33分、ゆっくり19分)歩行平均8520歩(最高酸素70%以上の運動強度)

インターバル群は最高酸素消費量が10%向上、体力年齢で10歳若返った。

体力が低下するとそれに比例して生活習慣病が発症。
インターバル速歩を続けた5ヶ月後には体力が20%向上それに比例して生活習慣病が20%改善する
(中高年被験者666名を対象にした実験統計から)

インターバル速歩で改善するもの

・気分障害
・睡眠の質
・認知機能
・関節痛
・骨粗相症

インターバル速歩は体内の酸素の流れをスムーズにし、ミトコンドリア機能を活性化し、活性酸素を産生しにくくする。慢性炎症反応が抑制され、疾患の症状を改善すると考えられる。

インターバル速歩で筋力、持久力が向上
     ↓
ミトコンドリアの機能が改善
     ↓
   症状が改善

Q&A

1日のうちどの時間帯がよいか

午後3時から6時くらいが運動トレーニングを実施する時間のベスト時間とされる

膝痛、腰痛がある場合は

インターバル速歩は変形性関節症の症状を改善する効果があるので、できればやったほうが良い。
症状が悪化しなければ継続

1日30分の時間が取れない場合

連続して実施する必要はない。早歩きの合計が1日15分になれば良い。

1週間4日は時間が取れない場合

週末にまとめて実施しても問題ない。1週間の合計が60分以上になれば良い。

走っても良いのか

インターバル速歩は強度が個人の最大体力の70%以上に相当することが前提。
体力の高い人はジョギングでも良い。個人の最高酸素消費量70%以上(ややきついと感じるくらい)を週に60分以上実施すれば良い。

効果の確認方法

数ヶ月に1度登山などをして時間が10%短縮できれば10%体力が向上したことになる。

まとめ

以上、私が覚えておきたいと思った内容の備忘録でした。


健康で長生きしたいと思う人は多いでしょう。
私もそうです。90歳になっても山登りをしたいと思っています。

病気になったらどうしようなどと自分の健康が不安になる時もあるけど
走るだけでその悩みがなくなるなら簡単なもの。

この本を読んでから1週間に70%以上のパワーで60分以上走ることにしました。